メルダス:石巻市での災害現地調査レポート
2011年4月23日から4月25日にかけて、仙台市、石巻市の災害現場を調査しました。
●4月23日(土)
土曜日の夕方に仙台空港へ飛行機で入りました。この日は低気圧が前線を伴って東北地方を通過しており、視界が悪いことが予想されました。仙台空港の着陸時に滑走路より海側の松林はすべて同じ方向へなぎ倒されているのが見え、津波のパワーを実感できました。
空港はまだ機能は十分に復旧できておらず、タラップで降り、構内も泥のにおいが残っていました。
仙台までの連絡バスから見ると、ガソリンスタンドが壊滅していたり、田畑の中に多数の車が浮かんでいたりと、被害が広い地域におよんでいることがわかります。ただ仙台市内に到着すると、外見ではほとんど被害がある様子は感じられません。
仙台市内にお住まいの方に当時の状況を聞きました。
「本震以降はみんなラジオを持ち歩くようになった。」
「家が壊れた人はあまりいないが、家具が倒れたり液晶テレビが壊れた人はよくいる。」
「大きな地震や停電のときは現金は重要だ。家にある程度予備に置いておかなけらばいけないことがわかった。」
「緊急地震速報は役に立つ。携帯でみんな一斉に鳴るのでわかりやすい。」
●4月24日(日)
朝7時前に仙台駅を出発するバスに乗って石巻市に行き、現地調査を兼ねてボランティアに参加しました。
石巻市内に入ると被害状況はかなりひどく、ほとんどの道の両脇には使えなくなった家具や電気製品などの廃棄物が積み重なっています。
駅前には地震で直接壊れた家屋もみられ、信号も幹線道路以外は復旧していません。
石巻専修大学にあるボランティアセンターは、少し高台にあり被害は少なかったようです。
ボランティアセンターで登録を行い、15名のグループに入って、津波被害のあった民家の清掃に向かいました。
訪れた家は石巻港から北に800mほど離れた場所にあり、津波によって庭全体に運ばれた泥が積もっています。前日の雨でぬかるんでおり、庭に乗り入れた車は、タイヤがスリップして動けないほどです。
家屋の一階は窓の上部まで津波がきており、周囲の家もほとんど窓ガラスが割れていました。
庭に積もった泥を、全員で一日かけて大型土嚢につめていきます。この日は、おおよそ、5t程度の泥が集まりました。
住んでいたご夫婦の方に当時の様子を伺いました。
「地震で倒れた花瓶を処理しようと外へ出ようとしたら、水が数十センチの高さで流れ込んできた。あわてて二人とも二階へ逃げた直後に、一階が完全に水没した。」
「2台の車を持っていたが、両方とも他人の家に流れて行った。」
「救助を求めながら2日間2階で過ごした。2日後ボートが助けに来てくれた。水が引いて地面が見えたのは5日後だった。」
お話を聞いている最中にも、一度弱い揺れを感じました。